雨も嵐も

2007年9月30日 読書
寒いけれども本の買い出しへ。
先日、映画祭でやってみるか、と思っていた髪のまとめ方をしてみる。適当にしばって、ショールで海賊巻きをするというもの。

縮毛矯正をやめてから、前髪のはねっぷりが酷い。それをいかに誤魔化すか、現在の問題はここにある。で、あまり技術がいらずに視界を確保、更に崩れづらい・・で、色々調べて研究したところ、帽子かスカーフなどを使って被せてしまうというのが手頃ということが判明した。

スカーフでも巻き方に多少技術が入り、ヘタすると姉さん被りになるという。しかもスカーフが高い。ということで、手頃なお値段で調達できる上にボヘミアンっぽくいいんじゃね?ということで、無印良品の自然なカラーなショールを用意したのである。

これが意外に暖かくて楽。毛糸の帽子を使うまでいけそうだ。

さて、今日の目的「本の買い出し」成果は上々。
慣れない町での購入は気を使って疲れる。それはもう、緊張の余りにお腹を壊すぐらいだ。よくあることなので、気休めにお腹の薬を購入。高いよー(涙)。
《小説十八史略》2巻読了。
始皇帝の死から武帝の即位まで。秦の後期から西漢までといったところ。「項羽と劉邦」を中国映画祭で見終わった後に読むと、登場人物の顔が浮かび上がってしまう。

血族の争いが出始めるので、人物名を覚えておくのが一苦労。そして陰謀、謀略、闘争いっぱいでエピソードだけで胸焼けがするだろう。

春秋戦国時代以降の説客の話や、思想家の説を読むと、実践に生きる処世術が多いので、ビジネスはともかく(笑)人間関係には応用できるので、かなりオススメ。

「三国志」の前の歴史ではハイライト連続の西漢の武帝。史記の作者、司馬遷が李陵をかばって宮刑を受けたり、衛青・霍去病が活躍したりと唐の次に派手な時代である。

小説では中島敦《李陵》で有名なので、さっくりと《小説十八史略》で予習して、《李陵》を読むのも楽しいし、逆も可。
2週間に1冊の岩波シリーズ。初めてのロシア文学、プーシキン。

このタイトルは聞き覚えあるなあ>「スペードの女王」
と思っていたが、横溝正史か(苦笑)。

工兵士官のドイツ系主人公が、カード賭博で目を予測できる秘密を知っている侯爵夫人に、その秘密を教えてもらおうと屋敷へ忍びこみ、誤って殺してしまう。秘密を知った工兵は自分の貯金を叩いて大勝負に打って出る。

ドストエフスキーが絶賛した小説であり、短編の名手と謳われたプーシキンの名作だ。60ページ未満で完結する。

こんな短い小説なのに読むのに苦労するのは1830年代と19世紀の小説だからか。ともかく注釈を読まないと分からない。注釈読んでも理解に時間がかかる。

それでも、これを乗り越えた先には感動が待っている。90分未満の印象強い映画を見せられた気分といえようか。最後にスペードの女王が薄笑いしたと幻覚する場面はサスペンスでもスリラーでも最高のシーンだ。

2日間でやっとこ1作品読み終わったので、他に収録されている「ベールキン物語」はこれから。

ところで、本表紙にある?ドストイェーフスキイは「幻想的芸術の絶頂」だといって絶賛した?が、「幻想的笑術の絶頂」に見えたのは気のせいでしょうかね。コメディだと思っていたんだよう・・。

小説十八史略

2007年9月13日 読書
中国史のおさらいでもしておくか、と手にとってみた。陳舜臣著。

図書館で借りたのでハードカバー。これは文庫化しているので、買って読むなら文庫版が持ち運びしやすいのでオススメ。私が読んだのはハードカバー第1巻の神話時代から張良の始皇帝暗殺未遂まで。

教科書に書かれるようなあっさりな流し方ではあるが、エピソードを加えて長編小説のあらすじのようになっており、それが生き生きと描かれているので、どの中国史を読むよりも分かりやすい。

また、中国史をよく知っている人であれば「待ってました!その話」というエピソードが出るし、陳さん流解釈がちゃんと参考文献と共に断りを入れて挿入されているのがいい。

もちろん小説のダイナミックさを出すために、政治・戦争の歴史が中心となるが、時代背景やなぜそういう駆け引きが成立するかを細かく書いているので、映画や小説をより楽しむための知識を持つには最適の教科書だ。

春秋戦国時代は特に心ときめいてしまう。《史記》の刺客列伝だけでも美味しいのに、小説仕立てにされたら、もうもう♪
F書店へダッシュを決めようとしたら、昨日の台風のせいで定時上がりをしてしまったために本日残業→本屋閉まる→会社近辺の大型書店で購入となった。マンガコーナーで見つからずに店員に聞いたら「サブカルチャー」コーナーにででんとあった。

この本屋では「隣の801ちゃん」も「オタリーマン」もサブカルチャー扱いだった・・・まあ、この本も似たような線だが。他には西原理恵子のマンガも「サブカルチャー」扱い。大判で薄かったらそこなのか。

本オタク女子の明るい(?)日常を描いたカラー4コマ。ブログで掲載されたのが話題となり、書籍化されたのだ。主人公の早川さんはSF好き、友達の帆掛さんはホラー好き、辛口の友人で岩波さんは文芸好き、年下の富士見さんはラノベ好き・・・。本好きなら分かるであろう、名前の由来!(笑)

このマンガを読んで最近、岩波文庫を借りている・・・わけでもある。他にも色々理由はあるが。

妹に見せたら「ねーちゃんと似たような人種しかいねえマンガだ」と一蹴された。本好きの誰かに貸して感想を聞こう。
難しい思想書は読むのに読解力を試される。
この本は薄っぺらいのに1週間かかった・・会話形態なのに(汗)

世の中を、人間を信じていないペシミストの老人と、聞き手の青年の会話形態でマーク・トウェインの思想を展開していく。

マーク・トウェインといえば《トム・ソーヤの冒険》の作者で有名だが、晩年は負債や家族の死によりペシミズムが濃厚になっていったようだ。

人間の自由とは、意思とはというものを突き詰めていく話であり、「人間の行動原因の主たるものは、自分が一番安心できるような環境にするため、動く」ということを具体例を交えながら、分析・検討していくのである。

自己犠牲も「それが自分にとって、心が安定するから」選ぶわけであり、誰かのために犠牲になるのではなく、自分の心をやわらげるために行う・・・あれー、どっかで聞いたな、これ。と思ったら、古龍のセリフに似ている。誰のためにも、利益にもならないのに何故するのか問われて「少なくとも自分が満足するさ」。

こんなとこで古龍を感じられた。意外。

僕僕先生

2007年9月3日 読書
日本ファンタジー大賞を受賞した作品ということで、ちょっと気になっていた。買わなきゃダメかと思いきや、図書館でたまたま目に入り借りた。

勉強も就職活動もしていない主人公は、元役人で退職後は老荘思想にずっぽりハマって仙人になりたがっている父親から、近所の仙人に仙人になる方法を教えてもらってこいと、使いに出される。そこで出会ったのが少女にしか見えない「僕僕」という仙人だった。

この僕僕を先生として、主人公はあちこちへ旅をすることになる。唐の玄宗が皇帝に即位したばかりの時代を舞台にしているため、当時の著名な文官が出たり、仙人が出たり・・・軽く中国の文化や歴史を知るにはちょうどいい。難しい知識を披露されるというよりは、そういうお約束なんですよーという感じなので、押し付けがましくない。

主人公が何もしない理由、うるさい父親というだけではない一面、仙人らしからぬ気持ちのゆれ、それを温かく包んだファンタジーで、中国好きじゃなくても読める面白い小説だ。

それにしても、日本ファンタジー大賞は幅広い・・・。
前述の本を読んで盛り上がった気分は中井英夫へ全て集中される。

ということで、自分の中では宝物ビデオと化しているNHKの日曜ドラマ「薔薇の殺意〜虚無への供物」1997年放送を改めて見る。

中井英夫の代表作であり、昭和のミステリでは5本の指に入る《虚無への供物》を実写ドラマ化した作品だ。深津絵里、吹越満、仲村トオル、北村和夫など配役のいいメンバーで、脚本もよかった。演出された小道具や住宅、映像もさすがNHKとうならせる昭和30年代の様式が素晴らしい。

最近《虚無への供物》が改装版が発売されたので、これを機に手に入れようか・・・。相変わらず分厚い(笑)
図書館で途方に暮れていたときに、うっかり目に止ったため借りてしまった。戦中日記といえば、自分の中では山田風太郎が念頭にあったので、あの中井英夫にそんな日記文学あったかと驚いた。

昭和18年ごろから毎日書いているものでもなく、日記というよりは今で言うところのエッセイ調のブログのような書き方である。学徒徴兵をされた、ふてくされた気持ち。母親を亡くした悲しみ。時代の空気というものが、今までの大仰なモノから今の学生のような書き方により、自分の中でようやく断絶していた戦中、戦後が繋がった。

当時の少なくとも大学生は自分から戦場へ行きたがる人間を「バカ」だと思っていたそうだ。学徒出兵の送別会では「黎明断じて遠からず、首が飛んでも死ぬものか」と高らかに宣言し、職業軍人の横暴さに腹を立て、じゃがいもをマッシュポテトで食うべと茹で方を工夫(燃料が不足していたため)したり、友達の家へ遊びに行っては飯を食べさせてもらった。確かに大本営付きの事務方に採用とはいえ、あまりにも普通な生活であり、学校生活の延長線上といっても差し支えはない。

終戦近くになって、中井は病を得て生死の境をさまよっていたが、その軍人病院の中ではすでに「負けて終わるんじゃないか」という空気があり、戦争が終わるらしいぞという話に「ばんざい!」と諸手を上げたジェスチャアに笑いの出る一幕があったそうだ。玉音放送などの歴史の瞬間に本人は意識不明の危篤状態で、気がついたら敗戦国の病床で目が覚めたといった按配だった。

あとがきに触れられていたことに、戦中にマジメな国民のようなことをしていなかった人間が、戦後になった途端に戦中に模範とされた人間像を自分はしていたと語る、珍妙な美化をしているという。

つまり、敗戦を迎えたところであまり気質は変わっていないにもかかわらず、戦中は規律正しく、挙国一致で動いていたかのような幻想を抱かせ、戦争のある日常を正しく理解や分析がされていないことが戦後すぐに起こっていたのである。であるならば、戦争を知らない世代である私が誤解をするのも無理はない。

今の政治の空気、経済の模様、戦争前夜に似ていると話を聞く。戦前や戦中を知っている人の話が美化されていることを差し引いたとしても、当時の資料を読むのを怠ってはならないとつくづく感じた。
文学ファン検定初級でダメ出しくらったせいだけではないものの、最近の読書傾向が軽いモノばかりで、読解能力が落ちているかも・・・と図書館で固めのもの、といってもせいぜいゆで卵レベルかもしれないが、とりあえず硬派な本を選んでみた。

《人間とは何か》マーク・トウェイン/岩波文庫
《中井英夫戦中日記 彼方より(完全版)》中井英夫

まずは2冊が限界。
次回は《小説十八史略》とか《死に至る病》とかを突っ込んでおきたいところ。文芸書に慣れて《カラマーゾフの兄弟》とか読んでも、数ページで死なない読書力を鍛えよう。

そろそろ発売予定の本を探していて、実店舗を構える本屋を何件かハシゴする。ネットで買えばいいじゃないか、という意見もあろうが、発売初日に欲しいのと中身の確認でついつい足を運んでしまう。

本屋を選ぶポイントとしては、その店の得意なジャンル、品揃えの信頼性が特に重要で、近所のF書店は信用が高い本屋だ。チェーン店ではあるが大型というほどではなく、1フロアだけなのに普通の書店では入り口付近には置かないような本を目立つところへ平積み、書店や文庫のフェアに協賛する姿勢がマニアの心をわしづかみする。

会社近くの書店は大型書店で、フロア面積ではF書店と同じレベルなのだが、私の趣向と合わないため、どんなにサービスがよくても時間がなければ行かない。他の大型書店でフロア面積が広かったりすると、2時間以上は出て来られなくなるので、休日以外は近づけない(笑)。

そんなわけで、1フロアだけで自分のツボな本ばかり置いてくれるF書店の存続のために、閉店時間までに間に合いそうならば、なるべくF書店で買うようにしている。

来月発売の《今日の早川さん》は絶対買いだ・・・F書店へダッシュか(遠い目)
やっと読破。この厚さの本を電車内で読みきった自分を褒めてあげたい。

巷説シリーズでは一番古い物語であり、ドラマを見ている人ならば読んでおけば楽しめるかな。。という内容。

二大主人公の一人、又市がまかしょうになるまでの経緯と仕掛けをほどこす仕事の始まりを書いたといえば、ラノベで言うところの外伝と思われる向きもあろうが、最近の小説では挑戦的な演出がある。

白土三平のマンガをご存知ならば知っているかと思うが、忍者シリーズの「サスケ」や「カムイ」。。より限定すれば「カムイ」でも問題にされていた非人を事件の中で取り扱っている。最近出ている江戸を舞台にした小説では侍や町人、農民が出ればいいとこといったところだが、ちょっと前の時代劇なら外せないキーワードとして非人、無宿人など今では聞きなれない階級の人間がいる。

部落問題などでタブー視され、言葉として出てくることすらはばかられているが、そのような扱いや階級があったことは消せない。どのような存在だったのか、どのような扱いをされていたのか。人の心の闇を扱ってきた本シリーズは、ついに江戸時代にあった闇をも現代に呼び出してきた。

その闇に対して、又市は、作者はどう答えを出したか。そういう意味では、ただの伝奇小説ではなく、小説で知った言葉を更に深く調べて知る必要を読者に課してくる物語である。
ついに出ました。801ちゃんだけに8月1日発売(笑)

801(やおい)ちゃんという腐女子とその彼氏で作者のチベくんの徒然なるままの絵日記というかマンガ。心当たりがある人もその種族である人からも大絶賛される、今マンガ界でホットな作品である。

801ちゃんはスーツ萌え、ホモカップル萌え、アニメ大好きっ子という、ふつーのヲタク女子(・・・標準的にいっても普通)。この作品が他のに追随を許さない点は彼氏もヲタクで二人ともアニメ、マンガ大好きっ子で、会話も趣味も分かりあえているが、ホモ好きの視点が分からん!という彼氏の観察が面白いのだ。

特にこの彼氏が見ていて、彼女が何かに萌えているシーンでは、彼女は表紙に抱えている緑色のケモノに変わる。

クールビズは楽しくない、夏はスーツ分が足りなくなるのよーっと叫ぶ。妹もヲタク道へ落ちていく有様に「不良は若気の至り、ヲタクは一生」という名言。夏にふさわしい一冊といえましょう。

獣神演武 1

2007年8月11日 読書
《鋼の錬金術師》の作者、荒川弘の新作だ。

タイトルで「演武」が「演義」だったら、中国の武侠モノ?と期待で頭がパーになるところであった。よかったよかった(笑)。

中国っぽい舞台で繰り広げられる少年マンガの王道を進んだアクションマンガ。ストーリーの流れから言えば、水滸伝をベースにした伝奇モノといえよう。日本の小説でいうと《長安異神伝》に近いかも。

身体の動きも感じられて、よい絵とストーリーテンポなのだが、いかんせん日本の中国モノにありがちなネーミングセンスで脱力してしまう。お願いだから4文字名前はやめんかい!!!せめて3文字、覚えやすさで2文字。中国人っぽい人で4文字は座りが悪くてよろしくない。

映画館にて「私たちの幸せな時間」(韓国映画)を鑑賞。主人公と殺人犯の初っ端のキリスト教への突っぱねっぷりに、常識を覆す何かをやらかしてくれるかなと期待していたが、さすがにそれはなかった・・・。ここで宗教否定で心の何かを掘り起こしてくれたら、すごい哲学映画になったと思われるのだが。そういう描写については、タブーのない日本映画、チャレンジャーな洋画を凹ませられないんだよなあ。ドラマとなる素材がいっぱいある韓国だけに、更なるチャレンジを期待したいが、難しいだろう。

Dクラッカーズ

2007年8月10日 読書
前にも少し書いたが、あのまま気になっていて図書館で手にとってみた。

作者はあざの耕平。私のアニメ好きな心というか、焼けぼっくいに火をつけた某芦田さん製作アニメ「ブラック・ブラッド・ブラザーズ」の作者でもある。

出版当初は創設したばかりの富士見ミステリーズだったが、版を変えるために富士見ファンタジーへ移籍した異色のダークファンタジー。作者曰く「主人公のジャンキーがドラッグをキメてラリったまま悪魔を駆使して敵をやっつけるミステリー小説」。

で、実際読んでみたわけだが、久々のスマッシュヒット!ドラッグをキメるシーンの描写などは、感覚の落ちる瞬間を肌で感じられて素晴らしい。

別に薬をやっているという意味ではなく、本を読んでいて登場人物に自分を重ねた上に、その世界へ落ちていく感覚といえば分かるだろうか。その世界へ取り込まれていく緊張感とゾクゾクする快感は、ラノベの大当たりの証拠である。

富士見は表紙のイラストではなく、小説の中身で大人へも勝負できるラノベでは息の長いレーベルだ。改めて奥深さを感じる。
夏だしねえー、と京極夏彦の怪談集。

怪談とはいっても種類がある。
俗にいう「怪談」は噺家や歌舞伎などで洗練された舞台芸術であるところの、恐ろしいオチのある話。
古典などで残っている書籍での「怪談」は素人が話す不思議な話、つまり「世にも奇妙な物語」なのだ。

後者は知識階級の人々が筆者であるため、中国の志怪小説(伝奇小説)の影響があり、話の雰囲気としては相当すっとぼけたものだ。どうボケているかといえば、幽霊らしきものがアクションを起こしたとして、それについて語り手は「不思議ですねえ〜」で終わるわ、人間じゃないものと幸せに暮らしましたで終わる。現代じゃ考えられない終わり方・・・私はこの志怪小説のすっとぼけたオチが大好きで、大学時代はこのジャンルばかり読んだ時がある。

この小説も古い怪談の翻案であり、そういう長閑なオチを楽しめる。なので、本格的に怖いのを読みたい人には不向き。

夏に怪談を聞いて納涼する習慣は日本だけのようで・・夏になれば思い出す、稲川淳二の怖い話や噺家の怪談噺、テレビ局の心霊スポット特集(笑)
半年に1回は来いって言われていたなと思いつつ、行きそびれていた歯医者へ定期健診&歯石を取りに行く。1年ぶりだったために
「あれほど半年って言ったよねー」と軽く説教。

1年に1回で歯石を取ると切れちゃって口が腫れるの分かっちゃいるさ。でも、息継ぎがへたくそで歯医者は嫌いなんだよう。幼稚園に入る前から診てもらっている医者なので、その辺りの呼吸はバッチリだが、歯が黒くなってからじゃないと行かない。

腫れちゃった口が治まるまで、図書館でぷらぷらする。
《指輪物語 二つの塔・下》ファンタジー
《猫丸先輩の推測》倉知淳 ミステリ
《琥珀枕》森福都 ミステリ(読み終えていないので延長)
《ZOKU》森博嗣 ミステリ?

来年映画化する森博嗣作品はいつもは図書館の棚で転がっているのだが、さっそく無くなっていた。予約状況を見ると予約待ち人数はないが、3図書館で貸出中になっているから人気の様子。一応予約をかけてみた。人が借りてるとやっぱり読みたくなる。

自分用備忘。中国SF小説の遍歴ムックをいつか借りねば。

午後は借りてきた「風雲 ストーム・ライダース」を見る。

思い出したー。「中華英雄」とセットで見ておきたかったアレか。
髪の毛を青くしたアーロンと扇子使った美しいイーキンが見られる香港らしい武侠映画。今話題のアンドリュー監督なんだ。。

柔らかで純粋な「風」と孤独でひねちゃった「雲」は、予言者に言われた誕生日によって天下会の雄覇に親を殺されて連れ去られる。この2人の青春物語って言えばいいと思われ。

この悪役・雄覇が千葉真一。すげい迫力なんですよ。香港の俳優さんベタ褒めされるぐらい原作マンガそっくりらしい。今見ると大河ドラマとカブって余りよろしくない(笑)

武侠物もCGは必須かーと時の流れに軽く凹んだりするわけで、やっぱりワイヤーでよいから俳優のアクションがアップされる方がいいと思う。日本人だったら千葉真一ぐらいしかできなさそうなアクションや、柔らかい動きをぜひとも。

ツッコミポイントには雲ことアーロン。幼馴染の小慈の気を引くためとはいえ、河原の石はなかろう・・・。そんなだから二股をかけられるのだ。

今夜はBSで「スタートレック」が始まる。NHK-BSはマニア専門チャンネルを目指しているんでしょうか。
2週間くらい前から図書館で借りていた「冷血」がやっと読破。話題の新訳ではなく旧訳ではあるので、俗語の翻訳部分で今では表示できない単語があるような気配を感じた。新訳は争奪戦になっているが、旧訳ならば堅苦しいor死語が多くても借りやすい。

「冷血」カポーティ
アメリカで実際におこった家族4人を殺した事件と犯人を追い続けたノンフィクション文学の始まり。最近では「羊たちの沈黙」など心理学を扱ったサイコサスペンス花盛りではあるが、ノンフィクションにおいて心理学など緻密な描写で殺人事件をとりあつかった文学はそれまでなかった。

特にマイノリティの出であり、孤独で繊細な犯人ペリーに対して同じ境遇で育った著者は強く魅かれていき、作品中では彼の心理描写を事細かく分析した後が見られ、著者自身が引きずられているところがある。

殺人事件が社会に及ぼす影響、風化、殺人犯の処刑にいたるまでフィクションを越えてしまう現実とは一体なんだろうかと考えさせられてしまう。

これで予習が終わったから、次回は映画「カポーティ」で総決算といきたい。でないと、この作品に引きずられてしまうのは読者も一緒。それぐらい引きの強い作品である。
鬱だったんじゃないんですか?それとも、あれは仮病だったんですか?というぐらいに躁状態の私。特にいいことはなかったが、夏風邪のために薬を服用したためかとも思われる。

図書館へ行って、予約していた本を身請け&ついでに借りる。

・《冷血》カポーティ:ノンフィクション。
これを読んでから映画「カポーティ」を見たい。

・《琥珀枕》森福都:中国小説。
この人のエンディングはえげつないというイメージがある。

・《ブギーポップは笑わない》上遠野浩平:ラノベ。
ラノベ界を越えて世間を震撼させた作品。今頃読みます。

連休前に《冷血》を読み終えて、「指輪物語」にいい加減戻りたいなと思うのだが、上手くいくだろうか。
本屋でマンガと本を衝動買い。まあ、いつものことですよ(苦笑)。

・電撃hp:電撃文庫のラノベ雑誌。
・amato amaro:マンガ。bassoで2冊目。
・Qping:マンガ。堀江蟹子の初単行本。
・STAND ALONE:ラノベ。駒崎優。

特筆すべきは「Qping」。ギャグとエッセイマンガの「ウンポコ」連載中の4コマギャグマンガなのだが、この作者を知ったのはギャグマンガはギャグマンガでも「日本帝国軍」ネタだったりする。「日本帝国軍」とあえて書くのは、陸軍も海軍も描いているため。

彼女の「日本帝国軍」ギャグは軍事マニアも唸らせ、笑わせ、腹をよじらせる。私は一介の歴史好きで、彼女が書き初めたものをうっかり読んでハマってしまい、今に至っている。

今回は兄は妙なファッションセンスを持つ、未確認生物が大好きな幼児、弟は父から薫陶を受けた軍事オタクの幼児の日常4コマギャグの単行本のはずだが・・・えーと、ページが余っているため「俺は憲兵」も入っております(笑)。セリフの端々に伺える軍事ネタは、佐々木倫子の動物ネタに張り合える勢いがある。

注釈:佐々木倫子はご存知「動物のお医者さん」の作者。動物ネタが大好きで、本筋のセリフ中に動物話を盛り込ませ、ところかまわずリアルな動物絵を入れてくださる。「月館の殺人」(原作・綾辻行人、絵・佐々木倫子)もしかり。

連載を知らなかったため、まさか続刊出るとは思わなかった「amato amaro」(「クマとインテリ」の続編)。今、マンガ界で話題のオノナツメのBL作品用の別名bassoで出ている。イタリア風味たっぷりでお送りしております。荒い絵のタッチがいい味出している。洋画と同じ雰囲気が大好き。

この衝動買い熱はネット上でも。JJの「殺手(殺し屋)」MV付きCD、学友さんの「Life is Like dream」写真集付きを購入。某台湾のコンサートの後に聞いたら、打ちのめされるんだろうな。

キスブルー II

2007年7月6日 読書
木下けい子著。今イチオシなBLマンガ家。

駒崎優の指摘にもあるように最近のBL小説、マンガはポルノ化が激しくなっており、そのうち年齢制限でも付くんじゃね?と思ったりするわけだが、この作者はJuneより軽いという悪評をいただく正しいBL本道を通りつつ、表現は少女マンガのそれよりもピュアである。

注釈:Juneは栗本薫などを中心とした、20年くらい前より存在する密閉性の高い話で、舞台としては横溝正史などが書くような血族、村、寮などが多い。BLは学園、社会人など普通に生活している人らと混じっている話が多い。この辺りの解釈は難しいので、ここでは適当に定義させていただく。

この作者にとって初シリーズ物で、今回でついに完結してしまう。季刊誌でよくがんばった!恋愛にとっては完結になってしまうのだが、彼ら2人の付き合いは終わりが見えない不安を残している。読者を消化不良にさせてしまうが、現実の人付き合いなんて、一つのトラブルを解決したところで、他も全てカタが付くことはないので、これはある種アンチBLともいえる。

風呂敷を広げたらたたむ。by吼えろペン


これは創作の大前提で、たたんでいただけないと大変なことになる。読者が読後の消化に関わってくる。「ガラスの仮面」は今だにたたまれておらず、「あさきゆめみし」はがんばってたたみきった。全員が満足するたたみ方はないが、たたむことは常に非情であらねばならない。

BL小説というのはライトノベルズor読みきりが多いため、安易なたたみ方をしてくれる。ハッピーエンドで終わり、番外編1つを単行本化にあたり書き下ろす。2時間サスペンスと同じものといえば仕方ないが、それでも設定もエンディングも安易だと、どれを読んでも同じではなかろうか。

さりとて、たたまれずにフェードアウトされては読者は死ぬに死ねないので、いい加減なところでたたんでくださいな・・。

< 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14