天竺熱風録

2007年7月4日 読書
田中芳樹著。最近のVer.だと新書版で出ている。

小学校からこの作者の作品を読み始めて○年・・私も年を取るはずだ(笑)。この人のせいで人生どっか棒に振った気がしないでもなく。

唐代の外交官・王玄策を主人公とした天竺(インド)と唐の交流の歴史小説。

相変わらず、よくぞ拾ってきたなマイナー人物!歴史書の1ページぐらいにしかいない人物をここまで膨らませるのは並大抵ではない。文体は「薬師寺涼子」シリーズの軽さに《水滸伝》などの翻訳で見られるような章回小説の講談調の折半というところか。

重々しい歴史小説なんかよりは、ずっと好感度が持てる。歴史小説の面白さは、なんといっても語り(文体)をどう置くかで全てが決まる。主人公目線で書くか、客観で書くか。現代風の口調にするか、時代劇のような口調にするか。これによって随分印象が変わる。

田中芳樹を主体とする小説家集団では、この文体が特に凝っており、私が最近オススメな冒険活劇小説家(笑)赤城毅もストーリー・テーリングが他の小説家よりも抜きん出ている。

軽い風味の歴史小説なので、新書版でさっくり味わうべし。
ドロシー・L・セイヤーズ著。この作者を知っていること自体が本格推理マニアってことを最近知った。当たり前のように学生時代読んでいたんですがねえ。翻訳小説で悪文だー悪文だーと騒いでいたシリーズではあるが、この本に限ってはきれいな文体で翻訳者が慣れてきたせいなのか、私がオトナになったのか。

これはピーター卿シリーズの中休み編。ピーター卿の話をある程度読んでおくのをオススメするが、知らなくても楽しめる。

ピーター卿(貴族で探偵)がある事件で救って求愛中の女流推理小説家ハリエットがケンブリッジにある母校のカレッジへ、学寮祭のために訪れた。そこで悪質な嫌がらせが発生したため、カレッジの学寮長より犯人を突き止めるよう依頼を受けることとなった。犯人は内部犯以外に考えられないが、はたして見つけられるのだろうか。

第一次世界大戦後のイギリスを舞台とした小説ではあるが、知識階級における女性の微妙な地位や、大学を卒業した後に大学訪れた際のある種の感傷なんぞは、今でも十分通じる女性ならではの表現がすばらしい。書評で30歳ぐらいの女性が読むと実感できるというのはまさにこれ。

推理小説としては推理に重きを置いていないわけではないが、人間ドラマがあまりに素晴らしくて、つい目線がいかずに残念な評価をえてしまいそうになるが、犯行動機はアンチミステリであり、この痛烈な批判はぜひとも推理小説好きなら一読を勧める。

カレッジが舞台となっているため、知識階級の会話に必需品!古典の引用がいっぱいで翻訳者泣かせな文体だ。注釈がついているので、読者もがんばれ(笑)

この作者が気になったら名作と誉れ高い「ナイン・テーラーズ」をぜひとも。これもピーター卿シリーズの一品で、これ一作で読みきり、大抵どの図書館にも置いてある。
諸事情により「電撃HP」なる雑誌を購入しようと思って、発売日10日を過ぎた本日に地元の本屋を訪ね歩いてみたものの・・・置いてない。おそらく1冊程度しか入れておらず、愛好者にさっそくいただかれてしまったのではなかろうか。

山積みにされている「DRAGON」(富士見ファンタジア系)がねたましく、「活字倶楽部」(ラノベ全般の季刊誌)は今月の発売じゃなかったなとか、つらつら考えて憂さを晴らす。

ラノベ雑誌というのは微妙なもので、文芸誌扱いされず、ティーン誌ともいえず、ゲーム雑誌でもなく、アニメ・マンガという扱いにもならず・・・本屋の雑誌コーナーをぐるぐる廻らせられる。なんせアニメ専門店へ行っても見当たらないのだ。

ある一定の年頃になるとラノベやラノベ雑誌を買うのが恥ずかしかったりするが、それはさておきラノベだと頭使わなくても読めるために「読書における”おやつ”」にぴったりで。来週も探そう。

まんまこと

2007年6月5日 読書
先日「サイン本」ということで、衝動買いしたもの。前に勤めていた会社の同僚が著者を大好きで、私が代理で買ってくるたびに彼女の読後に貸してもらった。ストーリーテーリングもさることながら、文章が温かくてよい。

16歳までマジメな少年だった主人公。彼の家は長屋の揉め事をまとめる名主で、玄関先に当事者を呼び判決を下す。ところが、どこをどう間違ったのかお気楽トンボへの道を歩み始めたために、悪評がたつのは遅くはなかった。悪友仲間の別の長屋で名主の家の子、同心見習いの子とつるんでは、揉め事を引き寄せ、解決していくという話。

読みきり単行本で、主人公の少年期〜青年期にかけてを取り扱い、大人になる瞬間を捉えている。そんなもう甘酸っぱいちゅうか、座りが悪くなりそうな話にも関わらず、主人公の感情をじんわり感じてしまうのは、ひとえに作者の語り口調のよさと説教染みたところのなさにある。

似たような話に「しゃばけ」シリーズがあるのだが、こちらは妖怪がいっぱいてんこ盛りで、こちらの主人公に比べるとまだまだモラトリアムに浸っている。身体が弱くて両親も乳母代わりの兄やたちも砂糖菓子よりも甘くくるんで若旦那(主人公)を甘やかすのだ。日の中で布団にくるまっているような温い小説なので、これもオススメ。

エニシダの五月

2007年6月4日 読書
地味ーに読み進めていたシリーズがついに完結。つい最近終わったんだなあと発行日を見て、ほんのり感じ入る。

「足のない獅子」シリーズから「黄金の拍車」シリーズへ引き継がれた中世騎士物語。ラノベにしては紋章が詳しく書いてあったり、日本人に馴染みの薄い中世のイングランドで、魔法も何も出てこない状態での勝負というのは、かなりレア。

王に知られてはならない主人公の出自をめぐって、ついに王とタイマン勝負(違う)。基本はミステリーなので、この小説の底を流れる出自問題に絡みながらも、日々起こるトラブル解決へ従兄弟と一緒に立ち向かう。

最終話にふさわしく今まで出てきたキャラが全員登場。こうでなくっちゃとウキウキ読んでいたが・・「あれ?神父の兄っていつ出てきたっけ」一巻抜かしているっぽい。この前の「麦とぶどうのめぐみにより」を読んでいないくさい。不覚?不覚!

週末図書館へ借りに行かねばなあ。
法月 綸太郎の久々長編本格ミステリ。2005年度「このミステリがすごい」大賞を取った名作だ。

この人が書く同姓同名の探偵が活躍する話は、エラリー・クィーンを本歌取りとした、父ちゃんが警部さんで本人は推理作家という設定で、トリックを重視した重厚なミステリである。

今回は遺作となった美術品を巡る殺人事件から過去の真実を探り当てるという話。謎が解明されたと思ったら、また謎になり底に沈み、最後に浮上して、事実を重ねて推理するという、ミステリとしてあるべき姿を読ませてもらった。もちろん、彫刻という3次元の美術品が絡むだけに薀蓄もあるわけだが、それは推理小説の楽しみを妨害するほど深くなく、でも浅く洗うものだけではない絶妙なブレンド具合で読ませてくれる。

こっからは個人の趣味になるのだろうけれど、クィーンもそうだが「この証拠と推理では、犯人はこの人しかおらんよねえ」という論理的な推理で犯人を割り出すのが、この作風の醍醐味であるのが分かっていても、私は少々読後感がよくない。なぜだろう?話の流れにはすごく感動しているのに。推理小説で人気が出やすいのはシャーロック・ホームズ張りの謎解きのハデさであり、驚いてくれる観客(ワトソン役とかね)に魅力があるとかであり、論理的な謎解きで読者に現実を突きつけるタイプではないのだ。この作品は後者になる。

多分に純文学を読んだときの居心地の悪さと相通じるものがあるように思われるので、時々読む分には頭の引き締めによろしいかと。

ステキな友情

2007年5月18日 読書
やっとこさ業務終了。サワー缶の日々も終わりを告げたい。が、やっぱり自宅で1缶飲まないとやりきれませんね。

借りてきた本をだいたい読破したので、買った本をちみちみと賞味。ついに森見登美彦《新釈 走れメロス》を読み始める。

えーと、森見作品の《四畳半神話大系》、《夜は短し、歩けよ乙女》ぐらいは読んでおいた方がより一層楽しめるかと。読んでいなくても笑えるが、こういう重箱のような展開に持ち込んできたのは商売魂ですか、それともお気に入りの設定&登場人物ゆえか。

短編集なのだが、純文学をインスパイアしたというか、底本にして今風の学生にアレンジした作品たちであり、タイトルにある「走れメロス」は絶品中の絶品。まだ後2作品読み終わっていないが、電車の中で読んでいて笑いをこらえるのに必死になった。顔がひきつり笑いを浮かべていたのは間違いない。

太宰治が描いたお互いを信じた友情ではなく、京極夏彦が描写した登場人物の名言「信用はしていませんが、信頼してます」のようなひねくれた友情は大好きだ。この人の書く腐れ学生を見るたびに学生時代を思い出す。意味もない、得もない、でも張り合ってしまうこの無駄さ加減がいい。
二階堂善弘著。映画やドラマで出没率の高い神さまをさっくり紹介の一般人向け解説書。ディープな人には物足りず、初心者には「さっき書いてあった○○さんって何なんだろう?」と解説が至らない点があるが、そこは調べて覚えましょう。

主に台湾などで民間宗教を研究している人だけあって、フィールドワークに長けており、また日本で出版されているゲームやマンガを見てチェックしている若手だけあって、なかなか目のつけどころがよい。

主に日本人が知っている《西遊記》、《封神演義》を取り上げていて、特に《封神演義》については2種類の底本があって、そのうちの1種が日本で紹介された挙句に漢字の読み方が違っているとのこと。更に中華圏では底本の1種が大流行したため、作為的に神さまを変容していることが、今ではそれが常識になっていることをあげている。

中華ドラマ、特に古装片(時代劇)では神さまは必ず出るし、一般常識なので知らないと「はあ?」ということになるし、知っていれば「わー待ってました!」と楽しみ倍増、知って損はない。

最近会社で新しい短期業務をいいつかり、ストレスがどんっと増えたため、帰りにコンビニ寄ってはサワー缶買って飲んでから寝る日々。天気でいえば荒れ模様。
京極夏彦の新刊を見に行ったら、うっかり畠中恵の《まんまこと》サイン本を発見し衝動買い。この人の文体って柔らかくて色っぽいので大好きなのだ。ファンタジー大賞受賞のコーナーだったため、他にも《僕僕仙人》も気になってしまった。次回の給料で買おうかな。

私のミステリーランド読破シリーズはまだ続いている。
今回は《探偵伯爵と僕》森博嗣。

公園で僕は「アール」と名乗る”伯爵”と出会う。”伯爵”の職業は探偵らしい。近所で子供が誘拐され行方不明になる事件が続出し、僕の友達もその被害に巻き込まれた。いなくなった子供たちは一体どこへ?”伯爵”と僕の捜査が始まる。

印象深かった事件を知っているせいか、給水塔が場面として登場すると、関西の事件を思い起こしてしまう。それとこれとは全く違う話なので、ちらっと思い浮かべてしまう程度だが。

相変わらずの森節が炸裂。この人ほど理論的な殺人に至る心理描写、大衆の目線を書きえられるだろうか。マンガ家集団CLAMPの大川節も人気だが、あの人の女性らしい感情の分類への賛同に比べると、理系らしい感情の分析は新しい視点を与えてくれる。

子供の読み物として、また大人の読み物として耐えうる構成はさすがというべき。トリックが二の次なのが残念。
図書館で本棚を目でさらっているうち、懐かしい作家さんを発見した挙句に情熱が再燃するというのはよくある話で。今回は竹本健治。

学生時代に《ウロボロスの基礎論》、《ウロボロスの偽書》を貪るように読んでいた。この2冊はその頃芽吹き始めた新本格ミステリ分野で実在する、新進気鋭の作家が登場して推理したり、殺されたりするという現実と虚構の隙間をついた迷作品だ。読んでいた当時は知っている作家の裏話というか暴露本のような扱いで、読み進めるたびにドキドキしていた。

子供の頃に読みたかったような話を書いてねーというテーマで、色んな作家に声をかけて作られているミステリーランドに名前が出たため、借りてみた。

《闇のなかの赤い馬》
ミッション系スクールで連続する不自然な死。学園内でアウトローな文科系サークル「汎虚学研究会」メンバーはその謎を解明しようと調べることにしたが・・・。

著者本人も書いているとおり、子供向けに書き直しているわけではなく「今でも子供です」ということで、好き勝手に書いた内容ではあるが、今まで読んだミステリーランドのシリーズでは一番歯ごたえよく、トリックが面白かった。

この人の大人向けのは文章量が半端ないので、腰を上げるのに力がいるが《匣の中の失楽》は読んだ記憶がないので、梅雨時にでも読んでみようかしらと。

妖怪ウォーカー

2007年5月11日 読書
「紳士遊戯」読了。4冊読み終わったがパンチが効いていないので紹介せず。というわけで、来月大分へ出かけるし、ガイドブック以外で調べ物を・・・という動機で借りたのがコレ。旅行で選ぶ本か?と言われると、ちょっと照れる。

内容は日本中にある妖怪などを感じられるスポット紹介とゆかりの地の探訪方法の指南書である。東京などで歩きながら楽しめるルートなども紹介されており、かなり便利。

大分は2件しかなく、心ひかれるところでなかったが、角川書店より出版の「日本の伝説」(絶版)で深く広く調べる事ができるとアドバイスがあったので、図書館で取り寄せてもらって調べてみるつもり。
本がないと死んでしまう病のため、大量に収穫。

・QED 竜馬暗殺(高田崇史)
・闇のなかの赤い馬(竹本健治)
・探偵伯爵と僕(森博嗣)
・カスピアン王子のつのぶえ「ナルニア国ものがたり」
・喪の女王 4、5巻(須賀しのぶ)
・ソウルドロップの幽体研究(上遠野浩平)
・紳士遊戯(赤城毅)
・中国の神さま(二階堂善弘)

えーと、上3つが推理小説、ナルニアは海外ファンタジー、次3種がライトノベルズ、最後が映画や小説で出てくる神様で有名なものを解説というもの。
い、一応子供向け小説シリーズの1冊だが、綾辻行人の「館シリーズ」の1冊とも言える。

高校時代に「十角館の殺人」を読んで衝撃を受けて以来、新本格推理小説を愛読しており、同時に綾辻作品の大黒柱「館シリーズ」をほぼ制覇しつくしてきた。入院中にも「暗黒館の殺人」を読んでいたし、入院中の友人を見舞いに行くのに「殺人鬼」を待合室で読むといか、私史上では病院と密接な繋がりが・・ごほごほ。

トリックは今ひとつな気がしないでもないが、おどろおどろしさと異空間である「館」があるだけで、もうドキドキしてしまう。どの作品でもトリックよりは館が主役になるのもお馴染み。ついでにミステリー好きならニヤっとしてしまうネタとしては中井英生「虚無への供物」が出てくるので、そこも楽しみか。本当にある本だって子供たちが分かって探してくれるとよいなあ。

戦後名作ミステリーの5本に入るので「虚無への供物」はオススメ。でも分厚い。NHKがドラマ化へ果敢に挑戦したこともある一品。

幽霊刑事(デカ)

2007年5月1日 読書
図書館から借りている本が多いので、ちょっと古めな本のレビューになりますが、それはご容赦を。

有栖川有栖のミステリーはファンの友人曰く「文章がきれいな推理作家」との評がある通り、会話のシーンも景色の描写も頭の中でごちゃごちゃになることなく、すっきりと分かりやすい。分かりやすいがゆえに、簡単だと思われているが、本格推理モノとしては一級品なのだ。

今回はミステリー劇で使った案を台にした小説版。
刑事である主人公が最初に殺されるところが面白く、その場面で犯人は分かっているわけだが、それを知っているのは死んだ主人公、つまり幽霊刑事のみなのだ。唯一、この幽霊と話せる後輩の刑事とコンビを組んで犯人を追いつめていく。

幽霊だからこその制限やできることがあり、でもそれを後輩以外の生きている人間に伝えられないもどかしさ。トリックもさることながら、生きている人への叫びが哀しく、普通の小説としても十分に面白い。
4月25日発売予定の京極夏彦新刊までの間つなぎで、図書館で何か借りるべーと図書館の書棚を物色。で、いきなり山田風太郎。

山田風太郎は偵探モノ→忍法帖→明治モノ→室町モノという感じで著作年度により作品が異なる。異なるが、変わらないのは戦前、戦中、戦後を生きてきた人が共通して持つ、人間の死に対する描写のあっけなさである。それぐらい人死を見てしまったためではあろうが、この英雄も信条もない死にようより目をそらしてはならない。

この本は室町モノ。後醍醐天皇より足利義満の時代までに生きた婆娑羅大名、佐々木道誉の生き方と見た世の中、同時代に生きた人物を書いている。

室町時代を書いた「太平記」は戦中は忠臣楠木正成像が神聖視されていたことと、現皇室の元となっている北朝(足利氏が擁立した天皇による王朝)、後醍醐天皇たち貴族が支援した南朝に分かれたなどにより、革命的な小説「新太平記」(吉川英治)が出るまで、神話のような扱いであった。

山田風太郎はこの「新太平記」による世間の空気の変化にのった風太郎的魔性の歴史絵巻を作り上げた。室町時代から戦国時代にかけて、下克上や人間の倫理を破る風潮を、伝奇小説の体裁から真に迫った短いながらも骨太な作品である。
コメントを残してくれた寺子さんから借りた一品。静ちゃん放り出して読みたかったんだもん!ありがとう、寺子さん。

先輩の結婚式に参加していた主人公は、片思い中の後輩が二次会に参加せず、1人ふらふら夜道へ繰り出していく後をつけていった。そこには摩訶不思議な京都の酔っ払い道が待っていたのであった・・・。

「王様のブランチ」などで取り上げられて、すごい部数を伸ばすことになったが、この作者はファンタジー大賞受賞の「太陽の塔」や「四畳半神話大系」など非モテ文学の巨匠と評されている、その筋では有名な作家である。

私もこれで通算3冊目だが、この本で確信を持った。この人の書くものは
不思議純愛小説なのである。男性がものすごく弱気ながらも片思いの
相手へ接近を果敢に試みる、涙なくしては読めない純愛小説である。
ハッピーエンドになっても、恋愛中のドロドロが出てこないのが、女性の
書く恋愛小説と違う点で、恋人がいない男性諸氏にとっては「両想い
になった恋人」は天誅の対象であり、両想いになったら、誰も知らない
どこかでひそやかにイチャイチャしてくれという願望と、作者自身も
夢の「黒髪の乙女」との恋愛をしてみたいものだという天誅対象外の
ためなのであろう。

今回の私セレクト名ト書きは以下2種。
どこまでも暴走する己のロマンチック・エンジンをとどめようがなく、やがて私はあまりの恥ずかしさに鼻から血を噴いた。
恥を知れ。しかるのち死ね。

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私は致死量に近い幸福を味わい、今さら危うく死ぬところであった。


つうわけで、ジャケ買いしちゃった寺子さん。ぜひとも読むべきです。(まだ未読なのに借りちゃった私をついでに許してください)

また、本日千葉マリンまで行ってホークス戦を観戦。
8点取って快勝。投手のピンチにマウンドへすぐさま行く小久保を見られ
ただけでご飯が2杯、ロッテ投手の小宮山と高木で3杯いけます。
うむ!

百目の騎士 1

2007年3月30日 読書
本日は賞与の支給日。社長の考え一つで金額が決まるため、金額を見ただけで好き嫌いが一発で分かってしまって、受け取る本人もさることながら、一番最初に全員のを見せられる自分が事実上の解雇希望がみえてきて一番凹む。

自分はといえば、昨年はあんまり働いていないし、こんなものかなあと思いつつ、一昨年で大いに揉めた古株さんと同じ道を歩みつつあることを実感しては、来年は危ないかもなあとうっすら感じた。だからといって、がんばる気はあんまりない・・・。

そんなストレスを発散すべく、帰りに書店でマンガを3冊購入。
表題はそのうちの1冊。
デッサンはお世辞にも上手いとはいえないが
アングルの使い方が面白くて、ぐいぐい読ませてくれる。

電撃文庫の作家が原作を書いて、絵書きがマンガに起こしているわけ
だが、アニメのような展開をするため、マンガを読んでいる気がしない。
なぜそんな気がしたんだろう?と突き詰めて考えると、いくら軍隊でも
そりゃありえない・・というキャラと細かい設定が最近の男性が好きな
アニメの要素を揃えているためと思われる。

それでも、このマンガは面白いので今後買い続ける予定。
先日悪口雑言吐いていた「中国の古代文学」。序章を過ぎて本論へ突入してから、いきなり読みやすく?とはいうものの、一般人向けとは思えない文章の書き方は出版社がよく許したなあと編集者に敬礼したい。

今読んでいる部分は神話について。ウという尭や舜の前の話から展開するわけで、このウという古代の王が黄河の治水をしたのだが、この王を始祖として奉っているのが墨子たちだったそうである。墨子たちよりも《孟子》の文章にみられており、墨家の情報は主にここか!と思われる。

こうなると急に興味が湧いてくるわけだが、難しい文章のため読みづらく、一日10ページ前後しか進められないのが少々痛い。

明日は貸し出し延長を申し出ねば・・・。

小話。西原理恵子の元旦那として名が知られていた鴨志田氏が先日亡くなられた。西原のマンガでしか知らないが、日本にいるよりはアジアでニートしている方が生き生きとしていて、ジャーナリストというよりは水島上等兵をゆるーくしたような人だと思う。この機会に著書をまた読み返してみる。ご冥福をお祈りします。

給料日後の散財

2007年3月24日 読書
といえば、本屋に決まりでしょう♪

つうわけで、隣町の本屋で立ち読み&購入。
「拝み屋横丁顛末記」8巻
→連載続けて5年目だそうです。うわー長いわ。3爺が冴えてて、ステキです。コメディ&あっさりハートフル路線でがんばれ!

「皇国の守護者」1巻
→絵に興味があったこと&ちょっと話題になっていたため購入。ある女性の描き方が気になるなあと思ったら、買っていたライトノベルズの挿絵の人がアシスタントしていた(笑)。今のところ4巻出ているが、買うべきかどうか、もう少し読み込んでから検討する。

昨夜も2冊買っているため、自室にあるマンガや本を整理。売却もしくは捨てようと考えているものが65冊(おおおおお・汗)。
明日、ブックオフにでも叩きつけようかと思ったが、これを1人で運ぶのは無理と判断して、宅配本サービスの利用申し込みをする。
高く売れそうなマンガ数冊はまんだらけへ持ち込みにするため、65冊の枠より外す予定。これに加えてパタロリDVD-BOXも持ち込みをどこかでせねば。

金が欲しいというよりは部屋から消さないと、もうあかん・・!!

図書館へも顔を出す。
先日ぼやいていた論文探しだが、地元の図書館のヘタレ具合に大いに失望したものの、やっぱりああいうジャンルを真正面から取り扱う本はなかなかないものだと思い知らされる。がんばって読むよ、静ちゃん(白川静)。

そんなわけで本日借りたのは癒し系かラノベ。
・「対談集 妖怪大談義」京極夏彦
・「そっと心にささやく 元気が出る50の言葉」
・「仕事が嫌になった人へ」岩本貴久
・「流血女神伝 喪の女王 3巻」須賀しのぶ

自分に課している本が読み終わったら「指輪物語 二つの塔・下」と「カスピアン王子のつのぶえ」を借りる予定。

野球開幕。皆よりメールをいただくが、気乗りがあまりなく。来週はマリンへ出陣する予定なので、その頃までには・・・。
右目がけいれん起こしているのに、活字中毒者には心配している人の声も届かず、うっかり図書館に吸い込まれていたりする。

せめて頭に重くないもの、読むのを止めようと思ったら止められるもの・・・という多少の後ろめたい気持ちからのセレクト2冊。

そのうちの1冊がこれ。(もう1冊は白川静の中国古代文学の解説書)

高校時代、図書室で触れて以来、私の好きな海外ミステリの1つになっているシリーズ。アイザック・アシモフがSF作家として有名だが、ミステリも面白い。

このシリーズは短編であり、1作品が10ページ程度で読みきりになっている。1巻でも2巻でも途中から読める、途中で止められるのもよいが、作者本人による解説が各作品についているので、どんな状況で着想を得たのかわかって、より楽しめる。

何よりも海外作品で必要な登場人物を全部覚える努力が少なくて済むのがよい。主要人物7人を覚えておけば、後は各話のゲストの名前だけ。

各話の展開は「黒後家蜘蛛の会」という社交クラブにいる6人が月に1回レストランで会食をすることになっている。その際にメンバーが連れてくるゲスト1名が出す不可思議な話の謎解きをするのだが、それを必ず解くのが給仕のヘンリーという同じパターン。これでネタバレにならないのだ。

今回紹介している2巻では「指輪物語」から着想を得たものや「ホームズ」のある物語から論を展開したりと色とりどりの話がある。

SF作家らしい科学的な話から同時代にあった小説についての論評までを短編で読める贅沢な作品。目が疲れていても、頭の箸休めにはちょうどいい。

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