僕僕先生

2007年9月3日 読書
日本ファンタジー大賞を受賞した作品ということで、ちょっと気になっていた。買わなきゃダメかと思いきや、図書館でたまたま目に入り借りた。

勉強も就職活動もしていない主人公は、元役人で退職後は老荘思想にずっぽりハマって仙人になりたがっている父親から、近所の仙人に仙人になる方法を教えてもらってこいと、使いに出される。そこで出会ったのが少女にしか見えない「僕僕」という仙人だった。

この僕僕を先生として、主人公はあちこちへ旅をすることになる。唐の玄宗が皇帝に即位したばかりの時代を舞台にしているため、当時の著名な文官が出たり、仙人が出たり・・・軽く中国の文化や歴史を知るにはちょうどいい。難しい知識を披露されるというよりは、そういうお約束なんですよーという感じなので、押し付けがましくない。

主人公が何もしない理由、うるさい父親というだけではない一面、仙人らしからぬ気持ちのゆれ、それを温かく包んだファンタジーで、中国好きじゃなくても読める面白い小説だ。

それにしても、日本ファンタジー大賞は幅広い・・・。

コメント