夏だしねえー、と京極夏彦の怪談集。

怪談とはいっても種類がある。
俗にいう「怪談」は噺家や歌舞伎などで洗練された舞台芸術であるところの、恐ろしいオチのある話。
古典などで残っている書籍での「怪談」は素人が話す不思議な話、つまり「世にも奇妙な物語」なのだ。

後者は知識階級の人々が筆者であるため、中国の志怪小説(伝奇小説)の影響があり、話の雰囲気としては相当すっとぼけたものだ。どうボケているかといえば、幽霊らしきものがアクションを起こしたとして、それについて語り手は「不思議ですねえ〜」で終わるわ、人間じゃないものと幸せに暮らしましたで終わる。現代じゃ考えられない終わり方・・・私はこの志怪小説のすっとぼけたオチが大好きで、大学時代はこのジャンルばかり読んだ時がある。

この小説も古い怪談の翻案であり、そういう長閑なオチを楽しめる。なので、本格的に怖いのを読みたい人には不向き。

夏に怪談を聞いて納涼する習慣は日本だけのようで・・夏になれば思い出す、稲川淳二の怖い話や噺家の怪談噺、テレビ局の心霊スポット特集(笑)

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