天竺熱風録

2007年7月4日 読書
田中芳樹著。最近のVer.だと新書版で出ている。

小学校からこの作者の作品を読み始めて○年・・私も年を取るはずだ(笑)。この人のせいで人生どっか棒に振った気がしないでもなく。

唐代の外交官・王玄策を主人公とした天竺(インド)と唐の交流の歴史小説。

相変わらず、よくぞ拾ってきたなマイナー人物!歴史書の1ページぐらいにしかいない人物をここまで膨らませるのは並大抵ではない。文体は「薬師寺涼子」シリーズの軽さに《水滸伝》などの翻訳で見られるような章回小説の講談調の折半というところか。

重々しい歴史小説なんかよりは、ずっと好感度が持てる。歴史小説の面白さは、なんといっても語り(文体)をどう置くかで全てが決まる。主人公目線で書くか、客観で書くか。現代風の口調にするか、時代劇のような口調にするか。これによって随分印象が変わる。

田中芳樹を主体とする小説家集団では、この文体が特に凝っており、私が最近オススメな冒険活劇小説家(笑)赤城毅もストーリー・テーリングが他の小説家よりも抜きん出ている。

軽い風味の歴史小説なので、新書版でさっくり味わうべし。

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