意外に早く読了したので感想なぞを。

大学病院に勤める不定愁訴外来の田口医師は、病院長より心臓外科手術の一種であるバチスタ法を得意とする桐生医師のチームにて、術死が続いたため、医療事故かそれとも患者の体力が持たなかったのか調査を依頼された。その最中にまたもや手術中に患者が死んでしまい、厚生省より型破りな役人が派遣されてくる。果たして真実は?といった内容。

このミステリーの面白い点は、手術に立ち会うメンバーへの聞き取り方法が田口医師と役人とでは対照的であり、またメンバーからのアクションも違ってくるのを見せている点。そして、現役の医師が書いているため、大仰にならない医療現場が舞台として用意されていることである。

《白い巨塔》では優秀な医師が対立してどうのこうの・・であるが、こちらでは普通の勤務医同士の軋轢や、その下で働く技師や看護士らとの絡みもあり、最近の医療事情を知るにはいい小説である。ミステリーのトリックとしては今ひとつなのだが、それ以上に久しぶりの読ませられてしまう文章は一品なので、ぜひ読むことをオススメする。

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