有頂天家族

2007年10月26日 読書
久しぶりの復帰でお客さんからのメールがおっかないことに。
同僚の「休み明けって心が折れるよね・・・」という気持ちが心底分かる。うん、心が折れまくり。もうだめだ。

ということで、以前購入して図書館の本の消費で止っていた森見登美彦の新刊を仕事の合間やら電車内で読破。

京都市内に住む狸の一族が敵対する一派と戦い、恩師との交流、兄弟間の軋轢を経て、社会を生き抜く姿を描く。

って書くと重い話のようだが、森美節炸裂だから安心してほしい。やる気もへったくれもない、空を眺めて何も考えずにのんびりくらせれば・・と祖先に誇ることもない堕落しきった現代狸の物語なのだ。

今回の名言は「阿呆の血のしからしむるところだ」。
狸には抑えがたき阿呆の血があり、意味もない役にも立たないだが面白いしでやってしまう過ちがあるという。それを喝破したのが主人公の父、狸界の傑物・総一郎の上の名言である。

総一郎は狸たちの間で悪名高い金曜倶楽部によって「現代では野蛮な風習」たぬき鍋により命を落とす。恩師で天狗の赤玉先生、その弟子で妖艶な半人間・半天狗の弁天、ヅカファンの母、生真面目な長男・矢一郎、カエルに変化して生きる次兄・矢二郎、気が弱い弟・矢四郎。父の死について、少しづつ知っている登場人物ら。それが徐々に明かされていくに従って、いつものハイスピードな展開が迫ってくる。

家族の描写が巧みで、べったりというわけでもない、微妙な雰囲気が上手い。今まで出ている作品で家族が出てくることがなく、新たな試みであろう。腐れ学生も健在なので嬉しい。

これはシリーズになっているようで、雑誌で連載中とのこと、続きが気になる・・今度は赤玉先生の息子が出るようだ。

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