【ブックレヴュー】婆娑羅
2007年4月13日 読書4月25日発売予定の京極夏彦新刊までの間つなぎで、図書館で何か借りるべーと図書館の書棚を物色。で、いきなり山田風太郎。
山田風太郎は偵探モノ→忍法帖→明治モノ→室町モノという感じで著作年度により作品が異なる。異なるが、変わらないのは戦前、戦中、戦後を生きてきた人が共通して持つ、人間の死に対する描写のあっけなさである。それぐらい人死を見てしまったためではあろうが、この英雄も信条もない死にようより目をそらしてはならない。
この本は室町モノ。後醍醐天皇より足利義満の時代までに生きた婆娑羅大名、佐々木道誉の生き方と見た世の中、同時代に生きた人物を書いている。
室町時代を書いた「太平記」は戦中は忠臣楠木正成像が神聖視されていたことと、現皇室の元となっている北朝(足利氏が擁立した天皇による王朝)、後醍醐天皇たち貴族が支援した南朝に分かれたなどにより、革命的な小説「新太平記」(吉川英治)が出るまで、神話のような扱いであった。
山田風太郎はこの「新太平記」による世間の空気の変化にのった風太郎的魔性の歴史絵巻を作り上げた。室町時代から戦国時代にかけて、下克上や人間の倫理を破る風潮を、伝奇小説の体裁から真に迫った短いながらも骨太な作品である。
山田風太郎は偵探モノ→忍法帖→明治モノ→室町モノという感じで著作年度により作品が異なる。異なるが、変わらないのは戦前、戦中、戦後を生きてきた人が共通して持つ、人間の死に対する描写のあっけなさである。それぐらい人死を見てしまったためではあろうが、この英雄も信条もない死にようより目をそらしてはならない。
この本は室町モノ。後醍醐天皇より足利義満の時代までに生きた婆娑羅大名、佐々木道誉の生き方と見た世の中、同時代に生きた人物を書いている。
室町時代を書いた「太平記」は戦中は忠臣楠木正成像が神聖視されていたことと、現皇室の元となっている北朝(足利氏が擁立した天皇による王朝)、後醍醐天皇たち貴族が支援した南朝に分かれたなどにより、革命的な小説「新太平記」(吉川英治)が出るまで、神話のような扱いであった。
山田風太郎はこの「新太平記」による世間の空気の変化にのった風太郎的魔性の歴史絵巻を作り上げた。室町時代から戦国時代にかけて、下克上や人間の倫理を破る風潮を、伝奇小説の体裁から真に迫った短いながらも骨太な作品である。
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