調べたぜー(笑)

2006年11月20日 映画
昨日に引き続き、「エレクション2(黒社会2以和為貴)」を見に行く。

「黒社会」より2年後、前回で会長に選ばれたロクもついに交代選挙の時期が来た。新世代の候補者とロクとの対立。中国本土の公安との駆け引きなど隠微なドラマ性の高い作品。

と固い話はさておき。
私の注目は小物類。一見するとかわいらしかろう?
この場でいう小物類はヤクザの出入りで配布された刀やこの三合会で会長の象徴でもある「龍頭棍」。ね、かわいーだろー(笑)

火薬量が割と少ない本編で、大量に使われたのは刀。
十数年前、中国マフィアが日本で暗躍していたころ、テレビのニュースで「青龍刀」が出ていたが、三国志ファンの方なら「えー、関羽の持ってるアレを振り回すんか?奴らわ・・」と思ったことだろう。薙刀みたいな柄についた大振りの刀がついたアレは正式名称「青龍偃月刀」。間違ってはおらず、ニュースで出ていた刀の名称が違うそうで、正しくは「柳葉刀」のようだ。

”ようだ”というのは、映画で見たり、ニュースで見た映像と刀のホームページで検索した結果、中国の一般的な刀は「柳葉刀」といい、450グラムと軽くて競技会でも使われるし、手頃感がおそらくという判断である。

映画の中では新聞紙にくるまれた刀を三下どもに現場で配布、そのまま突撃!という風に使用。日本のドスとは違って、長さが刃渡りがその人の手先からひじくらいまであるので、切るのが主体。刺すことは最終手段で、使い捨ての刀なのであろう。競技で使われるような柳の葉のような形ではなく、中華包丁のような四角い刀で、まさに「人きり包丁」。作品中「殺さなくても金は貰うぞ」という殺し屋は、軍手に水をかけて滑り止めをかけていた。それぐらい粗雑な刀なのであろう。

なお、私の愛する古龍曰く「君子が使う武器は剣」。両刃だがフェンシングのように突きが主体で品格があるらしい。刀はその対極で粗野なイメージがあるようだ。ヤクザの刀による出入が見たい方は「ベルベット・レイン(原題:江湖)」には大量に出るぞ。

次に「龍頭棍」。武侠小説好きなら「打狗棒」みたいなもんか?と思うであろう。《射チョウ英雄伝》でこじきの秘密結社の長の象徴の棒のことだ。どんな長い棍棒が出るんだろう、と期待していたが、どうやら長年経たせいか前の作品でうっかり焚き火にされかかったせいか短い棍棒の先っちょである。

これもついでに棍という武器の歴史や武侠小説より調べたところ、少林寺の武僧が使ったことから始まったようで、刀のついた武器を使えない僧侶が主に選ぶ武器らしい。後はお金がないとか武術の正式な訓練を受けていない江湖の荒くれ者がよく使うようで。

三合会も対清朝のレジスタンス組織の急先鋒だった少林寺の武僧が発祥故に棍が象徴となるのもうなずける。

作品自体の感想は、中国公安は香港警察よりもあくどいわー!!
まだ日本で公開が決まらないようで、今回見たときもVCD方式の下に中国語と英語、横の縦長幕に日本語字幕が出ていた。字数制限のせいか、日本語ははしょりすぎていて、中国語字幕に頼るはめに。

近くに水田奈穂さん(香港映画評論家&字幕翻訳者)が昨日に引き続きいらっしゃっていたので、監督のお手紙読むぐらいなら、壇上にあがって毒の一つも吐いていただいた方が私は楽しい。

昨日の映画とコミコミで一般公開をお願いいたしたく。

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