北京悠々館

2006年4月4日 読書
陳舜臣のミステリー小説というと、最近の中国歴史小説家というイメージからすると驚きの一品であろう。ミステリーの部類としては、本格派ではなく、社会派なのでトリックは二の次である。

時代は日露戦争前の北京。主人公の日本人骨董屋はある因縁により、日本のスパイとして中国政府要人とのパイプを持つ拓本屋の家へ入り込む。その拓本屋が密室にて殺される。日本、ロシア、中国の思惑が絡み合い、そこに中国の革命グループが出てきて背景が混沌とする。

このあらすじを読むだけで、本格ミステリーでないことは明らかである。戦前の中国の空気を楽しむ&中国人が探偵になったら・・・という興味で読むにはちょうどいいかと思われる。差別というわけではないが、清朝時代の中国人にミステリーの探偵は合わない。

おまけ。
武侠小説云々のくだりがあったが、一般的中国人の認識として「武侠小説=低俗小説」扱いなことを実感。ある程度の知識人の前で「大好き♪」というのはライトノベルズを大好きというのと同じくらい・・・っぽい。

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