怒涛の勢いで本を3冊ほど読破。

《魔女とライオン》映画館へ通っている人なら御存知、冬公開予定のディズニー映画「ナルニア国物語」の原作。小学生5,6年向けのハードカバーなため、読むのに少々時間がかかる。翻訳者の世代がおそらく戦前か戦中派と思われる。なぜなら発行年数もさることながら、文体において「これは日本じゃ分からんな」というのを分かるような言葉に差し替えている部分があるからだ。これは最近の翻訳者に見受けられない工夫なのである。魔女が凍らした国に春をもたらそうとする話なのだが、イギリスの作品だけに魔女ってメアリ女王?ライオンって王室のイメージ?とうがてば沢山ある。解説も子供向けなので深い話は別の本で読むしかないかと思われる。

《碧血剣3巻》これで最終巻!金庸モノでこれほど皇帝に関わりなく侠客の戦いが繰り広げられるものも珍しい。皇なつき《黄土の旗幟のもと》を知っていると更に楽しめる。ホンタイジが殺されて、ドルゴンが立ち、李自成が明朝を倒して慢心し、民から略奪を始めた・・・などなど歴史的事実の中へ登場人物を放り込む手法がさすが。これでもいつもよりは丁寧に歴史話を展開してくれている方だ。武侠小説は明朝末期が基本で、打倒清朝が基本。そんなに漢民族以外は嫌なのか、というぐらいの叩きっぷり。江湖に生きるなら政府に近づくなよと思うのだが・・・。続きは《鹿鼎記》へ。

《神様のパズル》機本伸司。SF小説で、表紙につられてついうっかりの本だったが、上記2冊に比べると読書時間は短く1日で読破。物理学研究室で平凡な学生である綿貫くんが、教授から「やっかいなお荷物天才少女」の面倒を頼まれ、あるきっかけより「宇宙の作り方」を検証することになったという内容。ということで、森博嗣の工学部ネタよりもちんぷんかんぷんな物理学話が飛び交うわけである。相対性理論とか量子力学とか。それをスルーしてもなおかつ読んでて面白いと思わせる作者の力量はさすが。映画ディレクターだけに構成がしっかりしている。今年発掘した作家の中ではピカイチの面白さ。騙されたと思ってゼヒ読んで欲しい。SF青春小説と位置付けてよいかと思われる。SFは懐が広いと感じさせる一品。

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